MPA精度調査 日本脳卒中学会総会 2014.3.14
Find AF project ─ 簡易心房細動検知器の開発 ─
Find AF project ─ Development a simplified system to detect atrial fibrillation ─
聖麗メモリアル病院 岡部 慎一
株式会社ネクシモ 山形 勝
【はじめに】
心原性脳塞栓症の原因となる心房細動(以下AF)を簡易的に高精度で検知可能なシステムを開発したので、その精度評価を行い報告する。
【対象と方法】
示指に装着したパルスオキシメーターからBluetooth通信で、Googleの7inchタブレットへ脈波情報を送信し、株式会社ネクシモと共同開発した脈波解析専用アプリ(pulse analyzer)によりAF判定をする.測定時間は1分以内である。AF判定アルゴリズムは、10拍の脈波間隔の平均値(M)と標準偏差(SD)を求め、変動係数(Coefficient of variation 、CV=SD/M)の測定時間内平均(averaged CV、以下avCV)が0.06未満を正常、0.06以上をAFと判定した。測定対象は、検診等で不整脈のない当院職員65人、慢性AFの入院患者9人、および一般外来の慢性AF患者17人を含む306人。
【結果】
当院職員では偽陽性率は12%であった。外来306人のうちAF患者17人はすべてavCV≧0.06であり感度100%。AF以外の289人中258人はavCV<0.06であり特異度89%であった。偽陽性となるのは、多発性の上室性・心室性期外収縮、房室ブロックなどであった。この多くはavCV<0.09であった。入院AF患者9人はすべてavCV≧0.06であったが、ペースメーカー調律の1人(0.08)を除いてavCV≧0.1であった。
【考察】AF患者を簡易的にスクリーニングする目的で開発したpulse analyzerは、感度100%、特異度89%であり、高精度であった。しかしながら、偽陽性率がまだ高いと思われ、閾値設定をavCV≧0.07で不整あり、avCV≧0.1でAFあり、に変更するとAF感度は100%、特異度98.6%となり、更に精度が向上する。
【結語】
一般外来において簡易的に高精度でAF検知可能なシステムを開発した。精度評価ではAFに対して極めて高い感度と特異度を有しており、今後臨床応用にて実効性を確認したい。